本当は怖い猫背。単に見た目が悪いだけと思っていませんか?

猫背はよく聞く言葉です。そして猫背は良くないということもよく聞きます。あんまり見た目が良くないよね、元気な感じがしないよね、くらいに思ってはいませんか? とんでもない。猫背はもっと深刻な症状を全身に及ぼします。猫背の正体は全身のバランスが崩れていることであり、背中が丸まっているのはその症状の現れ方の一つに過ぎないのです。

猫背とはどんな姿勢か

顎が前に突き出ている
猫背とはどういう姿勢でしょうか。名前からして背中が丸まっていること? うつむいていること? それも当てはまるのですが、重要なのは顎が前に突き出ているということです。特に姿勢を意識していない状態の姿を横から見て、あごが突き出た状態になっていれば、立派に猫背だということになります。

拳が入るとS型猫背
猫背であるかどうかを自分でチェックする方法をお教えします。壁がわに壁を背にして立ち、かかとを壁につけて、お尻、腰、背中、肩、頭と順番に壁につけていきます。正しい姿勢では、背中と壁の間は手のひら一枚分ほどの隙間ができます。ここに拳が入るほどの隙間ができていたら、S型猫背の可能性が高いと言えるでしょう。

猫背だと何が悪いのか
では猫背だと何が悪いのでしょうか。猫背は良くないものとは聞いたことがあるにせよ、問題がないのならば他人の姿かたちについてあれこれ言われたくはないですよね。しかし残念ながら、猫背は問題だらけです。

肥満・あごのたるみ

猫背の人は太りやすくなります。本来の正しい姿勢というのは実は一番楽にしたときの姿勢ではなくて、腹筋と背筋を使って背骨を支えている姿なのです。これは人間が直立二足歩行をしているがゆえにこうなったので仕方ありません。そして、筋肉で支えるべき背骨を、筋肉を使うとしんどいからという理由で背骨を曲げて維持した結果が猫背なのです。

体の中の大きな筋肉である腹筋と背筋を使っていない分、代謝が悪くなり太りやすくなります。また、バランスを取るために背骨を曲げた結果お腹が出っ張ることになり、また内臓の位置も下がりますますお腹が出て見えます。
同様に背骨を曲げてバランスを取ろうとした結果、顎が前に突き出ることになります。このとき顎の皮膚はたるみ、二重顎になりやすくなります。

老けて見える

背中が丸まり、肩はすぼみ、顎が出て皮膚がたるんでいる。この姿はどうしても老けて見えます。これは当然で、年をとって筋肉が衰えると同じことが起こるからです。その結果、猫背の人は実年齢よりも5歳ほど老けて見えると言われています。

肌荒れ

背中が丸まると内蔵の位置が下がり圧迫されます。これは内臓疾患や便秘を引き起こし、老廃物が貯まることで肌荒れとなって表に現れてきます。

むくみ、たるみ

姿勢が悪くなるとリンパのめぐりが悪くなり、むくみの元となります。
また、顔を上げてまっすぐ前を見るのと下を向いて視線を床に落とすのを比較すると自覚できますが、顔の筋肉というのは首を通じて背中の筋肉が引っ張り上げています。背中の筋肉が衰えると、表情筋も衰え、表情がなくなり、顔の肉はたるんできます。

肩こり

人間の頭の重さは5〜6kgもあります。重いですね。どうやっても重いのですが、背骨の上にまっすぐ載せるのが一番ましな載せ方になります。ななめに突き出す形になるとその重さは何倍にもなります。猫背で顎が突き出ているとはそういう状態です。
このとき、頭の重さを支えようと、肩甲骨が前に出てきます。背中が丸まるとはこういう状態です。このとき肩甲骨の間の筋肉が引っ張られ、その張りが肩こりとなって生じてきます。

腰痛

猫背とは筋肉で支えるべき背骨を筋肉で支えずに背骨を曲げて対応している状態ですが、このとき背骨付近(ブラジャーのフックあたり)にある重心が前にせり出てきます。これが上記の内蔵圧迫の原因ですが、この重心の変化は腰にも影響を与えます。腰椎が前に傾斜するタイプと後ろに傾斜するタイプがありますが、どちらにせよ腰に悪影響を与えていることには違いありません。これが腰痛の現任となります。

また、背骨を支える筋肉はもともと人間が直立するための大事な筋肉ですので、これが衰えているということは、直立してバランスを取る力が衰えているということでもあります。そのためちょっとしたことで腰痛を起こしてしまう可能性が高まります。

頭痛

首周りには重要な神経が集まっています。顎が前に突き出ているときは、首の重さを頸のうしろの筋肉で吊っている状態になっており、この筋肉は張って緊張しています。これが首周りの神経を圧迫すると、慢性的な頭痛の原因になってしまいます。また耳鳴りやかすみ目やイライラなどの様々な不調の原因ともなり、そのストレスが肥満などの他の症状を誘発するなど様々な影響を体に与えることになります。

酸素不足

背骨が曲がり体の重心が前にせり出している状態は内蔵を圧迫しますが、圧迫するのは心臓や肺や横隔膜も含みます。わざと背中を丸めて深呼吸をしようとしてみたらできないことが分かるかと思います。こうして呼吸が浅くなり、軽度の酸素不足の状態が続くことになります。これは集中力の低下や眠気などを引き起こします。デスクワークでは猫背の状態になりやすいので、注意してください。

猫背の原因

ではなぜこのような厄介な猫背などというものを引き起こしてしまうのでしょうか。遠因をいえば人間が直立二足歩行をしたからなのですが、それを言っても仕方がないので、もうちょっと現実的な原因を2点あげます。

PC、スマホ

これが一番の問題とされています。PCが普及する前から猫背は問題視されており、いわゆるデスクワークの宿痾と思われていたのですが、紙に手書きをするようなタイプのデスクワークから、デスクトップパソコン、ノートパソコン、スマホと、時代が経つに従ってより猫背を促進するようになってしまっています。つまり、うつむいて顎を前に出すような姿勢がより強くなってきているのです。特にスマホは頸を直角に近い角度まで曲げるのでこのことが顕著で、スマホ首などと言われています。

運動不足

猫背の直接的な原因は背骨を支える筋肉の劣化です。人間が直立するために必要な筋肉なので、身体を動かして日常生活や仕事をしていれば自然と酷使され鍛えられる筋肉なのですが、文明が進歩して身体を動かず座りっぱなしの生活ができるようになってしまった結果、猫背になりやすくなりました。

猫背を矯正しよう。

デメリットばかりの猫背ですが、ではどのようにすれば治すことができるのでしょうか?

一部分だけの解決を図らない

猫背矯正コルセットなどが市販されていますが、あまり効果はなく、腰などに悪影響を及ぼす可能性があります。
猫背とは、背骨を支える筋肉の劣化から生じて全身に及んだ症状の特徴的な外見を指摘した表現に過ぎません。これは全身のバランスの問題なのです。これは文字通り全身で、ここでは書きませんでしたが、太腿の筋肉を通じて膝やO脚などの足の形とも一続きのものです。これを丸くなった背中を矯正具で無理やり真っ直ぐにしたところであまり効果はなく、変な形でバランスが崩れて、その影響が腰などのどこか違う所に出てくるだけなのです。

正しい姿勢を知る

これが最も大切なことになります。
結局のところ劣化した筋肉を鍛えるより仕方ないのですが、それには正しい姿勢を体に覚えさせるより仕方がありません。運動でいう正しいフォームを体に覚えさせるのと同じです。正しいフォームを日常的に意識し、常にそれに戻すようにします。
その正しい姿勢は、上記の壁側に立ってみる方法がありますし、膝立ちをしてみるとどうしても背中を伸ばすことでバランスを取ることになるので、「正しい姿勢」となります。

寝返りをうつ

寝返りは体の歪みを修正する働きがあります。柔らかいマットレスは寝返りを打ちにくいので、この修正効果を阻害してしまいます。

机と椅子

とくにPCを使う場面で、キーボードの高さは肘が90度に曲がるぐらいで、モニタは下を覗き込む形にならなくても良いような高さにします。

頬杖、足組み

これはどちらも、身体が歪んだ体勢で安定させようとしてこうしています。無意識にやってしまいますが、意識してやらないようにしましょう。